今回は、転倒についてお話したいと思います。
とくに高齢の方は転倒によって腰の骨や太ももの骨を骨折すると寝たきりになるなど大きなリスクにつながる可能性があります。しかし、日常生活での工夫や心がけで転倒を予防することができます。
転倒の原因となる危険因子として、筋力低下、過去の転倒経験、歩行障害、バランス障害などがありますが、この中で最も大きいのが筋力低下です。他にも歩行やバランスなど運動器に関連する要因が上位を占めているため、運動機能の低下を予防していくことが重要なことになります。
筋力低下は、加齢や活動低下により生じます。運動する習慣を心がけ、とくに体幹や足腰の筋力を落とさないようにしましょう。
転倒予防対策に必要な筋
・体幹筋
体幹筋の役割は、
- 姿勢を保持する役割
- 歩くときの手足をスムーズに動かす土台の役割
- 不安定な場所でもバランスを保つための軸としての役割
・下肢筋
下肢筋の役割
- 体を支える
- 歩行速度を調節する
- 歩幅を調節する
体幹筋を鍛える運動
・お尻歩き:回数10回×3~5セット
- 椅子に浅く腰掛け、両足は床から離さないようにする。
- 手は腰または座面を把持する。
- 左右のお尻を交互に椅子から離すように上げる。
注意点:バランスを崩して椅子から落ちないように、慣れない場合 は、座面を手で把持して行なうようにしましょう。
下肢筋を鍛える運動
・膝上げ+屈伸:回数10回×3~5セット
- 椅子に浅く腰掛け、手で座面を把持し、体を安定させる。
- 姿勢を正したまま、膝を持ち上げ、足を浮かしたまま 膝を前に伸ばす。
- 足を上げたまま膝を曲げて戻し、床に足を下ろす。
注意点:つま先は常に起こしておくようにすると足首を起こす筋肉も強化することができます。また前に伸ばした膝を真っ直ぐ伸ばすように意識しましょう。
また、高齢者の転倒は屋内などの居住場所で多く発生しているというデータがあります。
お住まいの安全な環境作りも転倒予防には重要となります。コードやラグなど歩く際の障害物になるものはつまずく原因になりますので注意しましょう。
そして、定期的な健康チェックをしましょう。健康な状態を維持管理することが何より大切です。骨粗しょう症や視力低下などの問題を早期に発見し、対処するように心がけましょう。
当クリニックでは、骨密度を測定する機械があります。骨粗しょう症の気になる方はお気軽にお問い合わせください。また転倒予防に関するご相談やアドバイスも受け付けております。こちらもお気軽にご相談ください。